コロナショックのさなか皆さまの中にも、不幸にも生活保護を必要とする状況になってしまった方がおられるかと思います。生活保護を受給すると、ケースワーカーから収支を細かく管理されたり、定期的に資産を報告して、貯金しているようであれば保護を打ち切られたりという、経済的な自由はほぼない状況に立たされます。
そんな状況で、どうやって生活保護を抜け出せというのでしょう? そこがかなりの渋難ですよね。
ところで、昨今では生活保護の不正受給が社会問題になっています。先日は「中国人夫婦が1,000万円詐欺」というニュースがありました。
中国にマンションを持っている生活保護夫婦が、母国のマンションを売却して日本の口座に入金したことから、資産隠しが発覚して詐欺罪で捕まったというものです。
たしかに、資産を持ちながら生活保護を受給するというのはけしからん話です。しかし、ニュース記事をよく見てください。「疑いがあるときは、法務局で登記簿を調べますが、今回は調べられませんでした。中国にあっては、調査ができないからです。確かに、不正を見抜くには、限界があります」とあります。
生活保護受給者や申請者の海外にある資産を、市町村の福祉課が調査することができないという、驚くべき証言が掲載されているのです。
数年前から日本の公的機関が居住者の海外資産情報を照会できるCRSという制度ができ、海外金融口座を利用した脱税はしにくくなりました。
ただ、CRSで海外金融機関に照会をかける日本の機関はどこか?
それは国税局です。国税局は脱税の疑いなどが絡まないと動きません。
たとえば、生活保護受給者が「パチンコで溶かした」と主張する保護費を、こっそり香港などの海外口座に送金したとします。市町村の福祉課やケースワーカーは、そんな受給者の海外隠し資産を把握することが出来ないということです。
外国人の多い街には、海外送金に対応したお店もたくさんあります。このようなところを使った海外送金は調査が困難でしょう。例えば別名義でネットバンク口座を開設する人もいたりと手の込んだことをやる人もいます。
ニュースでは中国内での資産の売却益を日本の金融機関に入金していることから発覚しています。全てのやり取りを中国内の銀行で完結させれば一切発覚することがなかったということになり、海外口座の残高を海外キャッシングで引き出せるようにしておけば、日本のATMで引き出して使うことも出来ますしね。
もちろん資産隠しが発覚すれば詐欺罪に該当します。制度の穴が悪用されないよう、注意喚起を目的としてご紹介しました。くれぐれも悪用は厳禁です。
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